児童朝会のお話(3/3)

みなさんおはようございます。いよいよ,今年度最後の児童朝会になりました。校長先生が276名全員にむけてまとまった時間お話しするのは,今年度最後ということになります。この1年間,みなさんはたくさんのことを学び,いろいろな経験を積んできました。新しいことに挑戦したり,友だちと助け合ったり,いっしょうけんめい努力したこともあれば,うまくいかなかったこともあったかもしれません。

今日は,みなさんに「有終の美を飾る」という言葉についてお話ししたいと思います。難しい言葉ですが,覚えてほしいのです。この言葉はそもそも,中国で最も古いとされている「詩経」という詩集に書かれた言葉だと言われています。この言葉を知っている人はいますか?>>(知っている子供はごく少数)


「有終の美を飾る」とは,最後までしっかりとやり遂げて,良い形で終わることを意味する言葉です。何かを始めることも大切ですが,それを最後まで続け,立派に終わらせることはもっと大切なことです。

例えば,マラソンを思い浮かべてみましょう。スタートしたときは,みんな元気いっぱいです。でも,長い距離を走るうちに,疲れてしまうこともあります。それでも,最後のゴールまでしっかり走り切ることができたら,そのレースは「有終の美を飾った」と言えます。同じように,みなさんが1年間がんばってきた学校生活も,最後の3月をどう過ごすかで,大きく変わります。これまで積み上げてきた努力を,最後の最後で気を抜かずにやり遂げることが大切なのです。

では,学校生活で「有終の美を飾る」とは,どのようなことなのでしょうか。4つ例を紹介します。




みなさんが毎日使っている教室やろうか,体育館,校庭。これらの場所は,みなさんが学び,遊び,成長してきた大切な空間です。「有終の美を飾る」ということは,お世話になった場所を最後まで大切にすることでもあります。例えば,机の中を整理し,ロッカーの中もきれいにすること。そうじの時間にいつもよりていねいにほうきやぞうきんをかけること。そうした行動が,1年間を立派に終えることにつながります。「1年間ありがとう」という気持ちを込めて,自分の使った場所をきれいにする。それも,「有終の美を飾る」ことのひとつです。

みなさんは,この1年間でたくさんの友だちと関わり,先生ともいっしょに学んできました。時には意見がぶつかったり,ケンカをしたりすることもあったかもしれません。でも,楽しかったことや助けてもらったこともたくさんあったはずです。「有終の美を飾る」とは,「ありがとう」という気持ちをしっかり伝えることでもあります。

・友だちや先生に「今年1年間,ありがとう」

・家族に「毎日支えてくれてありがとう」

そうやって感謝の気持ちを伝えることができれば,この1年間はさらにすばらしいものになります。そして,そういう気持ちを持つことができる人こそ,立派に1年をしめくくれる人です。

「有終の美を飾る」ためには,最後の最後まで努力を続けることが大切です。例えば,授業中の態度。「もうすぐ春休みだから,適当でいいや」と思う人もいるかもしれません。でも,最後の授業までしっかりと活動し,学ぼうとする姿勢を持つことが大事です。1年間の学びをしっかりとしめくくることが,「有終の美を飾る」ことにつながります。また,学年の締めくくりとして,テストやまとめの発表があるかもしれません。「どうせ終わりだから」と手を抜かず,最後までがんばることができる人は,1年間を立派に終えることができます。

特に,5年生や6年生のみなさん。下級生は,みなさんの姿を見て学んでいます。もし,上級生が「もうすぐ終わりだから適当でいいや」と,だらけた態度をとっていたら,下級生もまねをしてしまいます。でも,最後までしっかりと行動する姿を見せることができたら,下級生たちは「自分も来年,あんなふうにがんばろう」と思うはずです。特に,卒業する6年生は,学校を去る前に「この学校の最高学年としてふさわしい姿」を見せることが,「有終の美を飾る」ということです。

この1年間,いっしょうけんめいがんばれた人もいれば,「もっとがんばれたかもしれないな」と思っている人もいるかもしれません。でも,大切なのは「最後のしめくくり」です。「終わりよければすべてよし」という言葉があります。これは,「最後を立派に終えれば,それまでのことも良いものになる」という意味です。みなさんも,あと少しの3学期の学校生活をどう過ごすかで,1年間の思い出が変わります。だらけてしまうのか,それとも,最後までしっかりやり遂げるのか。それを決めるのは,みなさん自身です。今年1年,たくさんのことを学び,成長してきたみなさんが,最後まで立派な姿でこの学年を終えられることを願っています。みんなで,「有終の美を飾る」すてきな3月にしていきましょう!

お話を終わります。

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