令和5年度卒業証書授与式「式辞」

校庭の木々にも新しい芽がふくらみ、春のいぶきを感じる季節になりました。このよき日に、令和五年度の卒業証書授与式を挙行することができました。五年ぶりにご来賓にもご臨席いただきました。心より御礼申し上げます。

保護者の皆様、本日はお子様のご卒業、誠におめでとうございます。こうして立派に成長され、中学校へ進学なさいますお子様を目の前にして、さぞ感慨もひとしおのことと拝察いたします。私たち職員一同、至らぬ点も多々ございましたが、お子様方への指導・支援に力を注いでまいりました。保護者の皆様には、今後もお子様を見守り支えていただくことで、一人一人がさらにたくましく成長されることを願ってやみません。

さて、卒業する四十九名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。今、皆さん一人一人に、六年間の思い出や成長の跡が詰まった、卒業証書を手渡しました。一人一人の表情を間近に見ながら手渡すことができ、大変うれしく思っています。

私はここ最近、これまで以上に皆さんの教室へ行き、皆さんの学習の様子を見ていましたが、初めて出会った二年前からの目を見張る成長を日々実感していました。それは、皆さんが六年生として、後輩達のお手本となる行動、学び方をしっかり身につけてくれたからです。

皆さんがこれから生きていく世の中は、将来の予測が困難な時代だと言われています。(1)変動という意味の言葉、Volatility(2)不確実という意味の言葉、Uncertainty(3)複雑という意味の言葉、Complexity(4)曖昧という意味の言葉、Ambiguity。この4つの英単語の頭文字をとってVUCA時代と言われています。そんな時代を生きていくためには、情報をしっかり収集して、それらを整理分析して問題を解決する方法を考え、自分で決断して行動に移す、そしてそれは一人でやるのではなく周りの人とコミュニケーションをとりながら進める。VUCA時代を力強く生きるためには、こんな力が絶対に必要なのです。

だけど、考えてみてください。皆さんの特にこの一年間の行動・学びは、今話したVUCA時代を乗り越えるために必要な力を磨いた、まさにその営みでした。挨拶運動をバージョンアップしながら続けたことも、笠岡小みんなの約束を話し合って見直したことも、そして日々の学びでは自分のめあてを持って自らゴールに辿り着き、振り返り、次の学びにつなげたことも、大切な力を身につけたことを示すものでした。皆さんはどこへ出ても誇れる学びや経験を積んできたと、学校長として自信を持ってたたえたいと思います。

そんな皆さんともお別れだなーと、寂しい思いを募らせながら、最近過ごしていました。そして今日、この日を迎えました。学校長として、自慢の四十九名の子供達を、自信を持って、そして将来を期待して、送り出します。今まで何度も話してきたように、夢を持ち続けてください。夢は途中で変わってもいい。でも、変わってもいいから必ず持ち続けてください。VUCA時代を力強く生き抜くための素地を身につけつつある皆さんだから、きっと、夢を実現する、幸せな人生を歩んでくれるものと期待しています。

ところで、今年の卒業式では、もう一つどうしても話したいことがあります。それは、今井小学校から新しい笠岡小学校へ加わった八名に対してです。静かな、みんなが家族のように過ごした今井小学校から、279人の中へ加わった昨年四月。正直言って慣れないこと、不安なこと、たくさんあったでしょう。よく頑張り、立派に学校生活を送りました。皆さんにとって、この一年は、とても貴重な時間でした。今井小学校だけ経験して卒業して行った先輩達と比べて、長い将来を見た時、皆さんの方が、より大切な・有意義な経験を積んで、中学校へ旅立つことができます。今井小学校の思い出も大切にしながら、でもこの一年間新しい笠岡小学校で立派に過ごせたことを誇りに思ってください。

巣立ちゆく皆さん。名残はつきませんが、未来を切り拓いていく皆さんの前途を思えば、喜んで小学校から送り出さなければなりません。皆さんの歩んでいく道が、夢を実現する輝かしいものとなるよう心からお祈りしています。百五十年の歴史と伝統に支えられた笠岡小学校、その卒業生であることに自信と誇りを抱いて、力強く堂々と人生を歩んでください。

後輩達に、良いお手本・成果と思い出を残してくれた四十九名の六年生、ありがとう。そしてさようなら。でも、卒業生として今後いつでも笠岡小学校を訪ねてください。待っています。

令和六年三月十九日

笠岡市立笠岡小学校

校長 髙橋伸明


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