令和6年度卒業証書授与式「式辞」

校庭の木々にも新しい芽がふくらみ、春のいぶきを感じる季節になりました。このよき日に、令和六年度の卒業証書授与式を挙行することができました。ご多忙な中、ご来賓にもご臨席いただきました。心より御礼申し上げます。

保護者の皆様、本日はお子様のご卒業、誠におめでとうございます。立派に成長され、中学校へ進学なさいますお子様を目の前にして、感慨もひとしおのことと拝察いたします。私たち職員一同、至らぬ点もございましたが、指導・支援に力を注いでまいりました。小学校課程にかかわらせていただいた私共としては、今後一人一人がさらにたくましく成長されることを願ってやみません。

さて、卒業する四十二名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。今、一人一人に、六年間の思い出や成長の跡が記された、卒業証書を手渡しました。一人一人を間近に見ながら手渡すことができ、大変うれしく思っています。

六年間、多くのことを学び、成長してきました。特に高学年なって、端末を活用し、自分のめあてや学習の見通しを立てて、情報を収集し、整理・分析し、まとめて表現するという学び方を身につけたことは、これからの時代を生き抜く上での、大きな財産となります。笠岡小学校六年生のこの学び方の良さは、岡山県内でも有名になりました。たくさんの小・中・高等学校・教育委員会の先生達や文部科学省の方も、皆さんの学ぶ姿を観に来られましたね。それくらい、皆さんはすばらしい力を培ってきたのです。

そして、皆さんのこの学び方は、授業の中だけでなく、児童会活動・委員会活動や日常生活をよりよくしようという取組にも活かされました。例えばあいさつ運動を何度も行い、バージョンアップしていったこと。先生に言われて何となくやるのではなく、子供主導で積極的に進めてくれた六年生の姿は、全校児童にとても良い影響をもたらしました。例えば、後ろにいる五年生が十二月に「落ち葉拾い運動」を実行してくれたことにも、つながっていると思います。六年生が取り組んだこと、確実に後輩たちにも受け継がれていくと思います。皆さんの功績です。

私はこれまで何度も皆さんに「夢や目標をもって努力し続けてほしい」と伝えてきました。そして夢や目標の話をするとき、よく元メジャーリーガー・イチローさんの言葉を借りてきました。そのイチローさんが、二ヶ月ほど前、日本人で初めてメジャーリーグの野球殿堂入りを果たした時の言葉に、こんなものがありました。イチローさんの殿堂入りに投票しなかった人がたった一人いて、期待された満票とならなかったことについて「一票足りないというのはすごくよかったと思います。いろいろなことが足りないものですよね、人って。それを自分なりに自分なりの完璧を追い求めて進んでいくのが人生だと思うのです。」

小学校生活の中で、うまくいったこと、良い思い出もたくさんあるでしょう。でも、うまくいかなかったこと、苦い記憶もきっとあるはずです。うまく行ったことは、自信を持ってこれからも続けてほしい。だけど、うまくいかなかったことも、今後の人生に活かしてほしいのです。うまくいかないことが起きた時、同じ思いを繰り返さないように、立ち止まって、どうするのがよいか考えてみる。自分だけで解決できなければ、友達や家族や先生に相談して、力を借りて、工夫・努力する。イチローさんの言っていることは、自分の足りないこと・頑張ればできそうなことを見過ごさず、より良くなるために努力することも必要だ、ということです。そう、そもそも完璧な人なんていません。でも、完璧を目指すことは、その人の可能性を広げることでもあります。ぜひ、うまくいったことも、うまくいかなかったことも、どちらも人生に活かすことができる人になってください。

もう一つ、話したいことがあります。それは、今井小学校から新しい笠岡小学校へ加わった二名に対してです。おととし四月からしばらくの間は、慣れないこと、不安なこと、たくさんあったでしょう。よく頑張りましたね。ただ、二人の頑張りだけでなく、周りの人たちの理解や優しさがあったことも忘れないでください。今井小学校の思い出も大切にしながら、でもこの二年間新しい笠岡小学校で立派に過ごしたことに、どうぞ、自信をもってください。

巣立ちゆく四十二名の皆さん。明日から皆さんの姿を教室や活動の中で見ることができないのかと思うと、とても寂しい気持ちですが、未来を切り拓いていく皆さんの前途を思えば、喜んで小学校から送り出さなければなりません。皆さんの歩む道が、夢を実現する輝かしいものとなるよう心からお祈りしています。百五十一年の歴史と伝統に支えられた笠岡小学校、その卒業生であることに誇りを抱いて、力強く、堂々と、進んでいってください。


令和七年三月十九日

笠岡市立笠岡小学校

校長 髙橋伸明

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